富樫鉄火

港へ来た男の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

港へ来た男(1952年製作の映画)
3.0
2020年度再映大会@フィルセン
これは初鑑賞。
昭和27年11月27日公開、ということは、サンフランシスコ講和条約締結直後で、いわば占領終了直後の映画。
よく、そんな時期に、捕鯨会社の全面協力があったとはいえ、これだけの映画をつくったと感動した。
なんとなく、演出というか編集でもたついてる感じがあるが、当時としては、これでもスピーディーな迫力があったのだろう。
この2年後に三船と志村は『七人の侍』で再共演するが、こちらは言うまでもない見事な演出・編集で、やはり黒澤明は、尋常な監督ではなかったことが、逆にわかって、あらためて感動した。
しかし、本作でもとにかく役者の「顔」がすごい迫力で、いま、こんな「顔」は、TVでも映画でも、絶対に見られない。
当時は、誰もが「顔」を見に映画館へ行っていたようなもので、ほとんど「歌舞伎」と同じだった。
左卜全が、瀕死に近いアル中老人役で出てくるが、このとき、まだ58歳だったとは、とても信じられない。
小泉博の役や設定を、もうすこしうまく使っていたら、物語にさらに深みが出たのだが。
富樫鉄火

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