1+1=1?
冒頭、Radioheadの“You And Whose Army?”が流れる中、頭をバリカンで刈られる少年。
映画でカメラ目線というのはあまり見ないが、この少年はジッとカメラ、つまり観客を見ている。
何かを訴えるような目で。
ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画を観ると、世界は常に混沌としていて、常に残酷であると思い知らされる。
死んだ母が残した遺言で、双子の姉弟は死んだと思っていた父と存在すら知らなかった兄を探すため、母の人生を調べるところから物語は始まる。
母はなぜ双子にその事を伝えなくてはいけなかったのか?
もちろん、物語のラストにその理由も語られることになるが、もし自分が同じ親の立場なら絶対に子どもたちに知らせたくない。
この事実を知った子どもたちは今までのように平和で楽しい人生に戻ることはできないだろう。
それでも、伝えなければならなかった母の気持ちと、残酷なこの世界を本当に上手に描いている。
日本がいかに平和で幸福な国であるか、日本に住んでいる人はもう少し自覚した方がいい。