ワンシーンワンカットの長回しで知られる相米監督の小品。
学校でいつもデブ長にいじめられていた、ブルース、(河合美智子)、辞書(坂上忍)、ジョジョ(永瀬正敏)の3人が、今日こそ復讐してやると思い立った目の前で、デブ長はやくざ風の男たちに誘拐されてしまう。
3人はデブ長を助け出すために、デブ長を連れ去った組員を連れ戻すように組長に命じられた、ヤク中のゴンベエ(藤竜也)と救出作戦に向かうのだが・・・
かなり無理のあるストーリー展開。
これだけの事件が起こっているのに、警察はほとんど無関心。
結構撃たれたりしているのだが、なんとなく物語は進行する。
ヤク中のゴンベエと付き合いがある巡査が、船上で焼身自殺を図るのも、悲劇とみるべきか、あるいは喜劇なのか。
単調な展開となるのを避けるために、舞台は横浜、熱海、名古屋、大阪(と思われる)と転々とするが、意外なほど効果は上がっていない。
相米監督だから、例えば雨の遊園地での少年たちと藤竜也の別れの場面や、窓越しに花火が乱舞する部屋での格闘シーンなど、場面ごとに印象に残るシーンは多いのだが・・・
カメラワークも、デ・パルマ監督並みに、計算しつくされているのですが、呼吸を感じないのは何故?
男なのか女なのかわからないブルースを演じた河合美智子も、魅力全開とはいかず。
ストーリー的にもちぐはぐになってしまい、ワンシーン、ワンカットが裏目に出たようだ。
今やご意見番タレントとなっている、坂上忍の、まだ幼い表情が観られるのが、せめてもの救いかな・・・
少年たちの夏の日の思い出というてーまで描くのなら、
もちょっとペーソスがほしかった。