さわら

鬼龍院花子の生涯のさわらのレビュー・感想・評価

鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)
5.0
ウルトラスーパー大傑作!
贅沢極まりない美術と仲代達矢、そして何より正妻・歌(岩下志麻)のラストに釘づけだった。堕ちてもなお愛する男への、妾に奪われた女の情愛。身体の中の涙が全部でた。

「血の繋がっていても運命に翻弄される女」と「血が繋がっていなくても意思を貫く女」。夏目雅子演ずる松恵に対する、高杉かおり演ずる鬼龍院花子の儚さがいい。

五社ドラマのアウトローな主人公たちに訪れる結末は、いつも爽快感からは程遠いところにあり、空虚感すら思わせる。それがいい。ハッピーばかりが人生じゃないさ。