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クレオパトラのTSのレビュー・感想・評価

クレオパトラ(1934年製作の映画)
3.6
【数奇な運命を辿った女王】76点
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監督:セシル・B・デミル
製作国:アメリカ
ジャンル:歴史
収録時間:100分
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 山のようにあるクレオパトラと名のついた作品の中から、まあまずはセシル・B・デミルの作品を観るのが無難かなと思い鑑賞。100分で完結するというのも手頃だと思いました。内容はカエサルとクレオパトラが出会ってからクレオパトラが自死するところまで。見たいところをテンポよく描いてくれていますので個人的には中々良かったです。

 紀元前の共和政ローマにおいて、第一回三頭政治のメンバーであるカエサルが、プトレマイオス朝の女王であるクレオパトラと出会い、恋に落ちます。まあカエサルは女たらしと言われることもあり、いろんな女と寝ていたようですが、その中でもクレオパトラは絶世の美女ということでお気に入りだったことでしょう。ただ真意はともかく、カエサルの本当の狙いは黄金であり、クレオパトラは二の次だった模様。本作の主人公はクレオパトラであるため、かのカエサルもあっけなく前半で退場します。むしろ今作は後半のアントニウスとクレオパトラの恋愛に重きを置いているように見えました。

 それにしてもクレオパトラも数奇な運命を辿った女性でした。エジプトを、民を守るためとは言え、最初は好きでもない人に接近していかなければならないのですから、ここだけ切り取れば名君であったと言えます。しかし、結果が全ての歴史においてそれはあまりにも過大評価。古代から続いたエジプトがついに滅んでしまうのですからインパクトは大きいでしょう。エジプトはアレクサンドロス大王に一時的に支配されたものの、それ以外は独立国として保っていたわけですし、その終点がアントニウスとクレオパトラの恋愛劇で終わるのですから歯がゆいところです。

 今作のハイライトはアントニウスにクレオパトラが毒を盛った酒を飲まそうとするところからやがて滅んでいくところでしょう。もう2000年以上前のことですから、このあたりはどこまで信憑性があるかわかりませんが、もしあの毒入りの酒をアントニウスが飲んでいたらクレオパトラの運命は変わっていたのでしょうか。世に有名な前31年のアクティウムの海戦を経てエジプトはボロ負けをするのですが、その後のアントニウスとクレオパトラのやり取りが儚い。こんな世の中で出会わなければもっと良い人生を暮らせたのかもしれません。ちなみにアクティウムの海戦はかなり重要な戦いなのですが、予算の都合なのかかなり早い展開で終わります。でも、敢えてここに時間をかけずにクレオパトラの心境の変化などに時間を使ったのは正解と感じました。
 他のクレオパトラ関連の作品は長いので敬遠してますが、さすがセシル・B・デミルはこのあたりの歴史的な物語をコンパクトにおさめるのが上手です。およそ100年近く前の映画ですし、どこまで歴史的に信用して良いかわからないところもありますが、クレオパトラの数奇な運命を素早く知るには良い作品と思いました。
 ということで、世界三大美女と言われる方々の作品は見ないといけないか。となると、次は『楊貴妃』にチャレンジでしょうか。。あれ、小野小町に関する単体の作品なんてあるのか?爆笑

 うむ、職業柄ここまで何も見なくて書けましたのでちょっと嬉しかったです笑 最近いつも映画の感想書く時、人名や組織名を調べなおして文章を書いているので笑
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