唯

クレオパトラの唯のレビュー・感想・評価

クレオパトラ(1934年製作の映画)
3.3
「離婚なさい。私と世界を征服するの」「エジプトには私が必要」といった冒頭からは、クレオパトラの決然とした強さと潔さを感じたのだが、惚れた男の前では一人の盲目な女、というお話。

クレオパトラ様、シーザーからアントニーへの気持ちの切り替えが早いこと(惚れやすいタイプなのね)。
国のために身を捧げる話かと思っていたら、愛のためなら我が国をあっさり放棄して、多くの民衆の命を粗末にする女王らしからぬ振る舞いを繰り広げる。
あくまで女としての人生を優先させたのね、うむ。
にしても、アントニーへの近付きが策略なのかと思わせる位のあっさりした描き方だったので、どうにもしっくり来ない。

「愛を探しなさい。真実の愛を。愛が見つからなければ何も与えないことよ。真実の愛が見つかれば私のように身を捧ぐのです」
どれだけ多くの犠牲を払おうとも、自らの気持ちに従ってそれのみを信じて生きる。
愛のためなら全てを手放しても構わない。命だって惜しくない。
愛するもののために身を捧ぐ気高さが、彼女をクレオパトラたらしめている。

ジュリアスシーザーはあっという間に死ぬのね、、。
彼が主人公の作品も数多あるし、彼の人生が気になっていたのだが、それは他の作品で追えということか。

白黒で豪華絢爛さが伝わらないのは悲しい。
伝書鳩がイタリアからエジプトまで飛ぶのが驚き。
一瞬の戦争シーンがなかなかにえぐい。
すれ違いによる悲劇は古典の鉄板。
改革を成し遂げるって、本当に凄いことだよなあ(反旗を翻して立ち上がろうとしても、すぐ崩されてしまうものだもの)。
唯