三四郎

ミモザ館の三四郎のレビュー・感想・評価

ミモザ館(1934年製作の映画)
3.3
実父の賭博好きが遺伝した息子は哀しい最期を遂げることになる。母親代わりだったおばさんの母性愛から男女の愛へとかわっていく心理描写は、服装、美容院、紅いマニキュアなどで表現され、直接的ではなく間接的で抑えられた演出になっていた。故に良かった。
おばさんも哀れだ。愛する男のためなら、最も嫌っていた「賭博」にも手を出すのか…。しかし、息絶える前に愛する男が呼んだ名前は「ネリー」ネリーの代わりに接吻するおばさん…。風で舞い上がる札束、そして終幕。儚さを一層際立たせる演出だった。

フランスというと、私の中では、早熟・浮気不倫・自惚・高慢・自由・個人主義と、悪いイメージばかりが浮かんでしまい、なかなか共感できなかったりするが、そりゃ、まともな人もいるよなとこの映画を見て思った。
もしかすると、私が想像するフランスのイメージは、パリのイメージなのかもしれない。
母親代わりだったおばさんの子供に対する平手打ちなど、日本の躾のようで、非常に共感できた。
「賭けに興味を持つのが良いことだと?賭けの代償は…平手打ちよりも恐ろしいわ」

ネリー役のリーズ・ドラマールも、パラソル役のアルレッティも私の好みではないが色香があった。ハリウッド(アメリカ)にはいない芯があるような…怖さと妖しさのある顔だ。

1933年のチェコスロバキアの映画『春の調べ』で、女性(ヘディ・ラマー)の全裸シーンがスクリーンに映し出され、当時、議論を巻き起こしたが、この映画でも、服を着替えるシーンでリーズ・ドラマールの左胸が普通に見えている。当時、日本で公開された時は、このシーン、切られたのだろうか?
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