うにたべたい

デメキング DEMEKINGのうにたべたいのレビュー・感想・評価

デメキング DEMEKING(2009年製作の映画)
3.8
いましろたかしの漫画、デメキングの実写映画。
原作は連載時打ち切りになっており作品として完結しておらず、物語としても区切りがつかないまま唐突に終わっています。
また、本作の2年ほど前に漫画の完全版が出ていてそこで加筆されたものの、意味不明かつ衝撃すぎるラストが追加されており、私的に映画化は非常に不安でした。
オリジナル要素の強い作品になると予想していたのですが、それを裏切ったほとんど原作準拠の内容となっており、あの支離滅裂な展開をよくここまでまとめたものだと感心するできでした。

1970年瀬戸内のある町を舞台とした作品で、そこの住む自身を天才と思いこんでいる男「蜂谷浩一」と、同町内に住む中学生「ひろし」の2人が主人公です。
正直なところ映画だけ見ても意味が分からないと思いますが、それで原作の漫画を読んだ場合、もっと意味が分からなくなると思います。
前提として、本作は打ち切られた漫画が原作であること、ガロ系であること、そして原作漫画にはファンがたくさんいることを知っておく必要があると思います。
原作を知っていないと楽しめない訳では無いですが、原作はコアなファンの多いマイナー作品だという事前知識は必要かと思います。

一応デメキングという怪獣が登場する怪獣映画です。
デメキングが出てくるシーンは原作と異なっていて、原作では足くらいしか見えなかったのですが、映画では全身がお披露目されています。
また、原作でデメキングは地球を破壊する悪魔の如く描かれてますが、映画ではそこまで大規模に暴れることはなく、瀬戸内の町を破壊する程度に留まっています。
人を踏み潰す描写もないですが、やはり足だけではなく全身の映像があること、町を破壊するシーンがあることから、原作よりも映画の方が怪獣の印象は強いです。
デメキングはウルトラQのゴーガに怪獣的な手足を生やして後ろ足で歩き回るデザインをしています。
原作からはゴジラ型のスタンダードな怪獣を連想していたので、このデザインは意外でした。
デザイン的には好みですが、脅威度、恐怖度的にはやや劣るかなと感じます。
個人的なイメージですが、二足歩行の怪獣の方がイメージにはあっているかと思いました。

原作を知っているからというところもあるかもしれませんが、良い実写化だと思います。
なお、原作では東京に出た蜂谷は駅で拡声器でもって啓蒙活動を行い、そこで仲間と出会うのですが、映画版では東京に行くところで蜂谷の物語は終わっています。
不満点を上げるなら、序盤テーマパークでまんじゅうを勧めてくるおばちゃんが普通に綺麗なお姉さんになってました。
原作の雰囲気的に恋愛要素はノイズと思うので、ここはおばちゃんが良かったのにと思いました。