キッチー

エリックを探してのキッチーのレビュー・感想・評価

エリックを探して(2009年製作の映画)
3.6
イギリス、マンチェスターで郵便配達員をしている中年男性エリック・ビショップ(スティーブ・エヴェッツ)はバツ2で男の子二人を育てているけど、しょぼくれた生活を送っている。彼の顔からは笑顔が消えて久しい。同僚の郵便配達員たちはそんな彼を心配して元気付けようと試みるが、心からの笑顔が出ることはなかった。彼が自室で彼の大好きなマンチェスター・ユナイテッドの伝説のプレイヤー、エリック・カントナに愚痴っていると、いつのまにかカントナ(本人が出演)が現れ、彼の話に耳を傾けてくれます。そしてアドバイスまでくれるようになり...
その後、最初の妻リリーとの娘サムから子供を一時的に預かって欲しいと言われたエリックは元妻と会うことになる。実は行き違いから別れてしまった二人。行き違いとなった原因を説明したいが、上手くいかないエリック。カントナのアドバイスに従い元妻との誤解を解こうとするが、そんな時に息子たちがギャングに脅されて犯罪に関わっていることも発覚する...エリックは単身ギャングに会いに行くが...

社会派のケン・ローチ監督の作品ということで観賞。珍しくコメディっぽい作品でしたが、ギャングや銃そして郵便配達員たちの奮闘の描き方など、社会派監督らしさも見られました。
エリック・カントナのことは全然知らなかったけど、マンチェスターでは英雄のような人なんですね。マンチェスターの人々全体がMUのサポーターのような感じでした。主人公の同僚の郵便配達員が大勢、彼を心配してくれる、力になってくれる終盤は感動的でした。カントナの被り物をした人たち、そして被り物を脱いだ一人がカントナだったり。なんかほっこりする作品でしたね。

カントナが放つ言葉も良かったですね。何かを成し遂げた人物の言葉は重みがありました。
「最も美しい思い出が場合によっては最も辛い、それが人生(セラヴィ)だ」
でも、この映画の主人公はその言葉を聞いて最も輝いていた時間を思い出すんですよね。ラストシーンに登場するブルースウェードのシューズを履いた彼は誇らしげでした。
前半はやや暗い感じの映画でしたが、後半は明るくなってきて、見終わった時は気持ちが明るくなりました(笑)
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