一人旅

ぼくの小さな恋人たちの一人旅のレビュー・感想・評価

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)
3.0
ジャン・ユスターシュ監督作。

フランスの映画作家:ジャン・ユスターシュが『ママと娼婦』(1973)の翌年に撮った長編第二作で、監督の自伝的内容の青春ドラマとなっています。

フランス南部の田舎町で祖母と暮らしている13歳の少年:ダニエルを主人公にした青春物語で、スペイン人の恋人と暮らしている母親の意向によってナルボンヌの街に移り住むこととなった主人公がそこで新たな仲間たちと共に青春の日々を過ごしていく様子を描いています。

13歳という思春期真っ盛りの少年の成長をフランス地方都市の情景の中に瑞々しく綴った少年青春ドラマです。同年代の無垢な子供たちに囲まれて育った元の田舎町での長閑な生活とは打って変わって、親の経済的事情から高校進学を断念し、修理工場で働きながら少し年上の少年や大人たちとの交友の中で“性の芽生え”を体感してゆく少年の心の機微と成長を微妙に生々しい性の描写を交え映し出しています。

主演のマルタン・ローブが大人と子供の狭間で揺れる少年を落ち着き払った表情で妙演していますし、母親役:イングリット・カーフェンの個性も際立っています。
一人旅

一人旅