星降る夜にあの場所で

ケマダの戦いの星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

ケマダの戦い(1969年製作の映画)
4.8
Marlon Brando
~12th Death Anniversary~②

※ジュリアス・シーザーと本作品の☆評価はあくまでもマーロン・ブランドの演技に対する評価です

西インド諸島のサトウキビ畑&奴隷
といったキーワードから、いわゆる太平洋三角貿易の拠点となった当時の某国をモデルにケマダという架空の名前を使って映像化した作品だと思います(統治していたのがスペインではなくポルトガルというのが意味不明なんですが…)。

前記した『ジュリアス・シーザー』同様、何度も観ている作品ですが、関連国からのクレームを避けるためなのか扱っているテーマにしては作品になぜか重さがありません。
スタッフも申し分ないメンツなのですが…
『アルジェの戦い』をつくった監督とは思えない…

しかしマーロン・ブランドは黒人差別に関する作品によく出演していますね~
いい意味で完全にプライベートとビジネスを混同しています(笑)

今回の役どころは、奴隷たちに革命を扇動するためにイギリスから送りこまれた海兵ウォーカー(ネット等では革命家となっています)。
見事革命を達成…したは良いのですが、奴隷たちには政府を樹立するだけのスキルがないわけです。
結局は事実上、統治するのがポルトガルからイギリスに変わっただけなのでした。
そうした状況から様々な問題が起こります。
10年後再びウォーカーはケマダへ…

これまた難しい演技が必要とされます。
彼は任命されて仕方なくこの仕事を引き受けているようです。
奴隷に対して何の嫌悪もありません。
革命達成時、英雄となった黒人奴隷とも友として付き合っています。
それでも暫定政府と本国からのミッションも遂行しなければなりません。
要は板挟み状態なわけです。
役柄同様、奴隷たちからは理解しがたい信頼関係だったのでしょう。
運命とは残酷なもので最後の最後に切なすぎる悲劇で幕をとじるのです。

一見ウォーカーの表情に苦悩の表情が薄くしかみてとれません。
やっつけで演じてるの?なんて思う方もいらっしゃるかも。

ではなぜか?
これが20世紀最高の俳優といわれる由縁なのでしょう!

おそらくこの役、はたからは板挟みに見えて実は彼自身はそうは考えていないのでしょう。
当然の成り行きだと解釈しているわけです。
ウォーカー自身が全くぶれない肝の据わった男なのです。
瞬間瞬間を自分に正直に生きているです。
それゆえに、超自然体の演技が必要となってくるわけですが、ここでもマーロンはものの見事に演じ切っています。

本当に素晴らしい(毎回この言葉書いてますね。この言葉しか思いつかない(笑))。

誰だかも言ってましたが、この演技を【継承】しようとしている男が(真似ようとしている俳優は山ほどいますが、マーロンのような資質が備わっていないと不可能でしょう…)一人ハリウッドにいます。
最もマーロンに近い男。
その俳優とは…