半兵衛

カンサス騎兵隊の半兵衛のレビュー・感想・評価

カンサス騎兵隊(1940年製作の映画)
3.0
主人公であるエロール・フリンをはじめとした騎兵隊絡みの話の主軸に絡んでいないしシリアスの話の中に軽薄な空気を持ち込んでくるので不要な存在に感じて見ていて邪魔になる、今リメイクとするとしたら過激な黒人奴隷解放運動家ジョン・ブラウンと彼のもとについたものの狂信的なやり方に疑問を持ち裏切ってしまう部下のドラマになってしまうのだろうな。

先にも書いた通りメインである騎兵隊パートはいかにも昔のアメリカの娯楽映画というノリで退屈になってくるんだけど、ジョン・ブラウン側のドラマになるとジョン・ブラウンを演じるレイモンド・ハッセイのカリスマ性と黒人奴隷解放のためなら市民をも犠牲にするクレイジーな指導者ぶりを見事に表現する三國連太郎を思わせる熱演もあって一気に緊張感が高まる。その一方でかつては平和主義による解放を目指したものの挫折した過去が語られることで、彼が単なる悪人ではなく、また当時のアメリカ全体が抱えていた矛盾が露になる。またジョン・ブラウン側にいる黒人が「私たちにとっての自由とは?」と語ることで、過激な奴隷解放というやり方が本来助けるはずの黒人を置き去りにしたものになっていることがわかる。

ジョン・ブラウンを裏切る部下を演じるヴァン・へフリンのドライな演技も見事で、レイモンド・ハッセイとのそれぞれの葛藤を抱えたぶつかり合いも見所。
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