とってもチャーミングなラブ・ストーリーです。
個性派俳優アーネスト・ボーグナインが、
意外ともいうべき可愛い演技をみせてくれます。
くせのある顔立ちで、
しつこい悪役のイメージがある彼が、
本作品の主人公マーティーを演じている。
ニューヨークの精肉店で働くマーティーは、
34歳で独身。
自分の容姿にコンプレックスを持っている。
或る晩、
友人に誘われてダンスパーティーへ。
そのパーティー会場で、
性格にコンプレックスを持っているクララと出会い、
二人はそれとなく惹かれ合っていく。
マーティーを溺愛ぎみの同居の母親は、
理由はないが彼女のことを快く思わない。
友人たちも、
彼女のことをよく言わない。
そんなこともあって、
本当は彼女のことが好きなのに、
マーフィーは、
クララとのデートをすっぽかしてしまい・・・
コンプレックスを持つ者同士が惹かれ合うという物語は、
’77年の『ロッキー』などに引き継がれていると思います。
周りの人間がどう言おうと、
自分が好きになった人間が一番なんだということを、
単純なストーリーながら深く訴えてくる。
初対面の夜。
キスがしたくてたまらないマーティーが、
クララに拒否され、
子供のようにすねる場面・・・わかるなあ。
好評だった本作は、
1955年のアカデミー賞で、
『最優秀作品賞』
『主演男優賞』アーネスト・ボーグナイン
『監督賞』デルバート・マン
『脚色賞』パディ・チャイエフスキー
を受賞して、
さらに、カンヌ映画祭でパルムドール(最優秀作品賞)も受賞している。
こういう低予算で、
少し照れ臭くなるような作品、
僕は好きです。