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おわらない物語 アビバの場合の一のレビュー・感想・評価

3.7
『ハピネス』『ウェルカム・ドールハウス』のトッド・ソロンズ監督作品

主人公アビバは自ら熱望し12歳で妊娠するも、親に無理やり中絶をさせられ子供を産めない体になってしまう
悲しみに暮れ家を出てさまざまな人々に出会っていく

続編ではないけど、一応『ウェルカム・ドールハウス』のヒロインであるいじめられっ子ドーンの従姉妹のアビバの物語
そしてそのドーンがレイプされ自殺してしまったという重すぎる過ぎる状況から始まりますが、ドット・ソロンズ作品なので、こんな悲惨なあらすじでももちろんブラックコメディです…

主人公アビバの役を6歳から成人まで、年齢、人種、性別さえも異なる8人の役者が演じるという超斬新な演出方法
この8人1役なんてどう考えても滅茶苦茶だろうと普通なら思いますが、シニカルな世界観を作るドット・ソロンズにはぴったりだったようで、最初こそ戸惑ったものの、すぐに慣れます
というかそれすらも一つの笑いとして上手に使っているのもさすがすぎる

相変わらず皮肉や風刺を織り交ぜたブラックが過ぎるトッド・ソロンズ作品ですが、本作は割と普通にシリアス多めなので、いつも以上に笑って良いのかわからない描写が多い
とはいえかなり悲惨で絶望的だったりする場面なのに、唐突にユーモアを挟んでくるあたりは抜け目ない

原題の『Palindromes』は回文という意味
主人公アビバ(Aviva)も回文になっていて、物語も…人生も…といったところで哲学のような深いテーマともとれる

誰もが臆するようなセンシティブなテーマすら、客観的な視点からあっさりとアプローチをし、見事にブラックユーモアへと昇華してしまうトッド・ソロンズ監督のセンスには毎度驚くばかり

確かにガス・ヴァン・サントとギャスパー・ノエが絶賛したというのがとてもよくわかる怪作でした

人によってはかなり不快になる可能性も全然あるので、もはや当たり前ですが観る人は超選びます☝🏻笑

〈 Rotten Tomatoes 🍅43% 🍿69% 〉
〈 IMDb 6.7 / Metascore 53 / Letterboxd 3.3 〉

2020 自宅鑑賞 No.564 GEO
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