このレビューはネタバレを含みます
一つ一つの描写を丁寧に撮影している印象。シーンの移り変わりのテンポや小気味良さよりも、ワンシーンごとの台詞や、情景、表情、目線をしっかり映す事に重きをおいているように感じた。
hana-biという題名だが、花火から受ける印象は一瞬の輝き、華やかさと儚さ。
奥さんの余命が短い中で、旦那として最後まで寄り添い、旅行をプレゼントして笑顔を取り戻す、そんな華やかさと、
すぐ横ではヤクザや警察に終われ、いつ死んでも、捕まってもおかしくない状況。バイオレンスな表現も多く、闇を感じた。まるで花火の背景の暗い夜、を表しているようにも思えた。とすれば、それはよりいっそう花火の華やかさを際立たせる演出なのかもしれない。明るい時間に花火は輝かないから。
けど、花火はいずれ終わる。それも一瞬で。最後に拳銃に込めた銃弾二発は、部下を殺すためではなく、自分達の命を絶つためのものだったとは、考えが及ばなかった。奥さんもそれを理解し、ありがとう、ごめんね、と伝える。
これも二つ。それぞれ言葉は表と裏、ありがとうとごめんね。意味は反対、というわけではないけど、使う意味は異なる。けど、こんな風に寄り添っても使われる。
まるで、この夫婦のように、生き方や性格は違えど、寄り添うことで、新しい情緒が生まれる、そんな様子を表すかのようだ。
北野ブルーの凄みは正直わからなかった。青みがかってるなとは思ったし、映像、シーン合っているとも感じたが、革新性?は理解できなかった。
北野たけしの台詞の少なさは毎回こうなのだろうか?表情が独特で、北野映画、北野ワールドにすぐに引き込まれた。映画を見ている、演技を見ている、というよりも、北野武の作り出す作品、演技のうまい下手ではない、アートを見ているような感覚だった。北野武はデザイナーではなく、アーティストだ。