ふた

悪魔の赤ちゃんのふたのレビュー・感想・評価

悪魔の赤ちゃん(1973年製作の映画)
4.3

幸福な夫婦の間に、突如生まれる異形な赤ん坊、その赤ん坊が人を殺していく

なぜこの夫婦の間に異形な赤ん坊が生まれたのかは描かれない。この夫婦には既に11才の息子が存在しているし、夫婦にモンスターが生まれて原因があるわけではない

70年の前後には、ピルの発明やら、ロー対ウェイド事件判決により、生殖と産の革新時期であり、世間の赤ん坊に対する価値観が変わった時期であった
「今はお産で死んだりしない」のセリフからわかるように、病院でお産をするのが普通になった直後ぐらいであろうか

一度、堕胎を考えたという描写があるように、堕胎に対する認識も少し見られる。このころから既にプロチョイス対プロライフはあるのでしょう

放射能のせいでも、遺伝のせいでもなく、自然発生的に突如生まれた異形の赤ん坊たち。テクノロジーにより、人々のお産に対する価値観の変化、堕胎増加で仕方なく生まれていった赤ん坊、もしくは死んでいった赤ん坊たちがモンスター化して社会へ抵抗しているのかな

自分の子供がモンスターであったときの、母の反応と父の反応にリアリティがありコントラストが効いててよいと思いました

ひとつひとつの何気ないセリフ、行動がテーマに繋がっていて丁寧に作られているな、と

モンスター赤ちゃんの形状に関しては、笑えるけど あまり直接的に映らないし、それがまた恐怖を醸し出す効果となっているからいいよね?モンスター視点も然り

二本の指を持ち、キバを持つモンスターであるが、それ以外は普通の赤ん坊。ハイハイしていてミルクを飲んで、ギャアギャア泣くところになぜか親心が生まれてしまいますよね笑 そこは感情移入できた笑

お産のテーマとは別に、一方でマスコミのあり方の批判にもなっていて感心しました
単に映像的インパクトを求めて観るのならつまらないかも
ふた

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