田山信行

リング2の田山信行のレビュー・感想・評価

リング2(1999年製作の映画)
-
前作をわざわざ『リング』と『らせん』同時上映という構成にしたのにコレ作っちゃったら台無しなのでは、という続編。形骸的に関係ない映画との同時上映。オカルトを科学で引っくり返すという面白さがあまり理解されなかった上で、じゃあ観客が望むホラーテイストで押し進めた続編をってことで後々の作品よりも逸脱はしてないが。

前作では、はぐらかされてた“念写”を軸として呪いのビデオから実体化した貞子の念がビデオを見た者以外にも余波を拡げていく。ウィルスとは違う形での恐怖の拡散を描いており、一応『らせん』を意識はしていたのか呪いの念に対して科学的アプローチで迫っていく展開はなかなか面白い。

しかしまぁやっぱり基本はオカルトなので新たに語られる貞子の設定も30年間井戸の中で生きていたやら化け物感を助長するだけのものだし、あの刑事も関係者に何故それをヒョイヒョイと触れ回るのか。途中から念力というか超能力へ話を振ってしまうので軸がブレる。お約束の様に大島へ渡るが得るものは何もない。

最後は科学的決着をつけようと話を戻すが……意図は分かるにせよ、ラストの舞台がプールってのも何か間の抜けた画ヅラ。何故か器材を抱えてプールにダイブする小日向さんの面白い動きだけが強烈に印象に残ってる。

他にも所々で恐怖よりも面白みが勝っているシーンが散見される。前作とは被らない様に、そして前作以上の恐怖描写を盛り込もうとして過剰にやりすぎた感があってどうにもシュール。山村志津子が障子の奥にスライドしたと思ったら急に顔半分だけひょっこりはんするあの動き何なのよ?

井戸を駆け上がってくる貞子もシュールだし、渾身の死に顔を見せる深田恭子もちょっと面白みが……。貞子の念によって深田恭子も即座に怨霊と化すような世界へと変容してしまったと考えれば怖いんだけど。

亡き高山の意志を継いで、さらにその遺児を守る為に力強く躍動するヒロインへと変貌していく中谷美紀の魅力が映えているのが良い。最後にその高山と再会するのもちょっと感動。映画版の高山は真田広之が演じていたのもあるだろうが原作ほどの狂人ではないので『らせん』にて大それた人類への裏切りをしでかすことが納得いかなかった。本作における扱いの方が好きかな。
田山信行

田山信行