北斗星

日の名残りの北斗星のレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
4.0

日の名残り 愛の名残り   
「夕暮れ時 最も好きな時間」


小部屋でのシーン。日が傾いている。彼女が彼の読んでいる本の内容を執拗に知りたがる。本から彼の指を1本1本どける。ふたりの息遣いが感じ取れそうな程、非常に官能的なシーンだった。


エマ・トンプソンが魅力的に描かれているだけに彼女が気の毒。
そして、スティーブンスも気の毒。
スティーブンスはサラに惹かれていることに自分自身気づいていなかったのか?
恋愛も本の中でしか識らない。
後年、彼が若かりし日々を回想するシーン。それが成就しなかっただけになんとも言えず哀しくも切ない。



執事頭…という職業。
恋愛、結婚、政治的意思、そして時に人間らしいこころを持つことも許されない。


自分と、折りの中に閉じ込められた鳥と、何が違う?




アイボリー監督の映像や美術、音楽、そして何より夕暮れ時や室内のライティングが美し過ぎる。
流れるようなストーリー展開もため息が出るほど素晴らしかった。
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