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ある関係のodyssのレビュー・感想・評価

ある関係(1962年製作の映画)
3.5
【不倫の果て】

最近昭和30年代の邦画が面白くなっている私。これもその一つで、某名画座で見たのですが、結構面白い。なのにDVD化されていないらしい。もったいない。

子供がないサラリーマン夫婦(船越英二、淡島千景)。少し前までは妻の従妹の薬大生(三木裕子)が二階に同居していたのですが、卒業して薬局勤務となってから独立しています。しかし実は夫は以前、妻の留守中に妻の従妹に迫って関係を結んでいて、それ以来不倫関係にあるのです。

そんな中で、妻は女学校の同窓会があるので泊まりがけで熱海に出かけます。
これを機に、夫と従妹はそれぞれに(つまり不倫相手に知らせることなく)妻を毒殺しようとたくらんで・・・

後半、意外な展開があるのですが、そこに行くまでの過程の描写もたんねんになされていて、見応えがあります。

不倫関係にあるふたりが一夜をすごす宿も昭和30年代的。今だとラブホテルがあって、気の利いたところだと人に顔を見られずに自動的に入ることもできますが、この頃はそんな設備は望めませんから、宿のおかみに案内されて部屋に入ることになる。むろん、独立した浴槽なんかありません。こういう細かいところに当時の風俗がうかがえるのも、面白いところなんですよね。

とにかく一見に値するミステリーの佳作と言えるでしょう。
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