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暗黒街の弾痕のHKのレビュー・感想・評価

暗黒街の弾痕(1961年製作の映画)
3.7
岡本喜八監督による暗黒街シリーズ第3作目。脚本は関沢新一。キャストは加山雄三、佐藤允、三橋達也などなど

産業スパイの企みによって、テストドライバーの兄を事故に見せかけて殺された弟が、トップ屋の男と共に、兄たちが隠し持っていた設計図を守るためそして兄の仇を取るために暗黒団と研究所の人間に潜入して謎を追求する。果たして勝つのはどっちか。

オープニングでハーレーダビッドソンが高速を走るシーンを短いカッティングで見せながら、佐藤勝さんのアップテンポな楽曲で盛り上げる。やっぱり喜八映画のオープニングはいつも上がりますね。

今回は、加山雄三と佐藤允というコンビであるが、後年の戦国野郎と同じような関係性であった。あくまで加山雄三は冗談が通じない生真面目なタイプ。それに対して佐藤允は飄々として終始どっち側にたっているのかがわからない。

しかし、前作との差別化という点ではちょっとばかり失敗したかのような気がしなくもない。真新しい展開などはあまり見られないが、それでも時間が短いためそれ相応に楽しめました。

自動車業界に産業スパイというのが当時流行していたのでしょうかね。確かにこの当時の日本の自動車業界は最盛期でありましたから、そういう設定が冴えていたのかもしれませんね。

前作と同様、謎の殺し屋軍団に天本英世さんが出演しています。そして、謎のコーラスを組んで変な歌を歌っています。あのどこかミステリアスな雰囲気がこの暗黒街シリーズの特徴なのでしょうか。この今見るとださいような演出が結構いい味を出している。

今回の主人公は、なんと捕鯨漁指導員。今なんかやったら世界中からバッシングでも受けそうな設定ですがやはり喜八さん独特の飛び道具のカッティングが素晴らしい。手裏剣や銃弾もそうですが、あのテンポでカット変わるとそれだけで迫力が違う。

また、今回はバディものでありながら、終始野球のネタなどがよくつかわれていましたね。「ダイナマイトどんどん」や「最後の早慶戦」などを後に務める監督らしい演出が終盤に光りますね。

今回は、拳銃よりも、ネイルガンのようなものが活躍しますね。そしてバディものではよくある二人協力して一つの弾丸を撃つというラストは見所。

まあまあ面白かったと思います。ただ全体的にちょっとスケールダウンしてしまったのが残念。
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