みおこし

1000日のアンのみおこしのレビュー・感想・評価

1000日のアン(1969年製作の映画)
4.0
イギリスを知ろう映画祭り!またまたヘンリー8世関連の一本。ヘンリーの二番目の妻であるアン・ブーリンの壮絶な1000日間を描く。

王妃キャサリンとの仲が冷え切ったヘンリー8世は、弱冠18歳のアン・ブーリンを見初めるが、彼女には既に婚約者がおり、なかなか心を開かない。何とかアンを自分のものにしようと、ヘンリー8世はカトリック教会の意向に逆らい離婚を企てるが...。

評価が高いのでかなり期待して観たら、その期待をさらに超えるクオリティであっという間の2時間半でした。ヘンリー8世がアンに対して情けをかけすぎている点以外、ほぼ全て忠実に再現されている気がしました。誰かが歩くたびにいちいち侍女が付いてくるあの感じとかもリアル(笑)。
演技派リチャード・バートンと、当時まだ若手だけど圧倒的な存在感のジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドの火花散る演技合戦がとにかくすごかった...!!実際のヘンリー8世は、肖像画を見る限り絶対バートンほどカッコよくないけど...(笑)。

世界史を紐解く上でも重要人物であるトマス・モア、最初の妻であるキャサリン・オブ・アラゴンの娘メアリー1世、そして誰よりあのエリザベスが出てくるというのは、同時期を描いた作品の中でもなかなか稀有なのでは?世界史ファンとしてはいちいち「おお!!」となりながら観てました。国王至上法の制定も明快に描かれていて分かりやすかった。私がもし世界史教員になっていたら、生徒たちに見せて説明したかったなぁ〜!
全体的に歴史の流れをかなり捉えやすいので、オススメです。

それにしてもヘンリー8世、どうしようもないというか、人として性根が腐ってますね(笑)。歴史的な偉業もある人とは分かりつつも、男児を身篭れないアンに対する冷徹な態度や行いを見てると、正気の沙汰じゃないなこの人って思います。本当に彼に会ったわけじゃないから真相は分かりませんが(笑)本作での描かれ方や、史上に残るエピソード一つ一つがあまりに救いようがなさすぎて...。
婚約者を捨てて権力に走ったアンもなかなか図太いですが、それにしても彼女の短い人生を思うと、来世は長生きしてほしいなと心から思います。宗教や結婚問題、今は自由な時代だけれども、当時の人々の気苦労は想像しただけで計り知れないものですね...。狂った時代があったんだなあ。

骨太な人間ドラマ、見事でした!!
ラストがじーんと胸に沁みます。そのまま『エリザベス』を観るとなお良さそう!!(笑)
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