チーズマン

スパイダーマン3のチーズマンのレビュー・感想・評価

スパイダーマン3(2007年製作の映画)
3.7
ほんと久しぶりに観返しましたけどサム・ライミ版スパイダーマンの3部作は、なんだかんだ割と良くまとまってましたね。

今回は、市から表彰までされてついにニューヨークのアイコンとなったスパイダーマンことピーター・パーカーが有頂天からどん底に転落していく話でした。


シリーズを通して観ると、この3部作はひたすらパーカーとM.Jとハリーの三角関係の話として軸が一貫してました。
そこから逆算的に必要最低限のキャラ設定と配置で、なんというか作品の構図みたいなものがとてもシンプルなので、スパイダーマンというキャラの魅力を描く余白も大いにあったからこそ“スパイダーマン”という印象がちゃんと残るシリーズでしたね。

あとスパイダーマン映画の悪役って、もともと悪い人じゃなかったのに科学技術によって肉体変化とともに増強された暴力性と、その内面に残る良心との、常に自分の中の善悪が葛藤していて大変そうなのが多いですよね。
で結局は、身体から来る動物的な暴力性の信号に抗えず悪に負けてヴィランと化してしまうわけですが。
そして今回はいよいよパーカー自身がそうなってしまうという話なのも3作目の意味があって良いですね。

そして、スパイダーマン映画では決まって各ヴィラン達は最後の最後にはその身体的な悪を内面から克服して終わるというのも、スパイダーマンの映画の魅了に感じま
した。
と言いながら実は、1作目のヴィランであるグリーンゴブリン/ノーマン・オズボーンだけは悪の感情を克服できないまま死んでいき、息子のハリーへとそのまま受け継がれて行ってしまいます。
しかし、この3作目でハリーは父親から受け継いだ悪を最後に自分で克服し、同じく悪を克服した親友パーカーと共に純粋な悪そのものであるヴェノムに立ち向かうという展開は熱いものがあります。

ちなみにヴィランが最後に悪を克服しますが、かと言ってこれまでの全て許されるとかでもなくて死んでいくのだけど、だとしてもせめて獣ではなく人間として死んでいく、というささやかな救いが良いですよね。

欲を言えばサンドマンに関しては、そもそも色々と可哀想なヴィランなのに、最後はパーカーが心の重荷を降ろすために配置されたキャラという印象が若干残ってしまうので、最後に何かフォローがあれば良かったかなと思いました。

1作目の頃よりCG技術が進歩した事で、サンドマンやヴェノムの映像表現が出来るようになったので、シリーズを増すごとにCGのクオリティが上がっていくのを悪役を通して感じれるのも醍醐味かなと思いました。


あと、個人的にはM.Jを演じたキルスティン・ダンストの魅力がシリーズでは1番出ていた気がします。
最初の舞台上でも歌う場面なんかは、ああいった華やかな衣装や化粧がとても似合う女優なんだと再発見した感じでした。

ワルなパーカーによる変なミュージカルシーンとか変で良かったですね。
やってる仕打ちは最低でしたけど。笑


あと、マーベル映画に毎回カメオ出演することでもおなじみのマーベル原作者のスタン・リーですが、今回のカメオ出演は良かったです、なんかグッと来てしまいました。
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