くりふ

砂の惑星のくりふのレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.5
【ラウレンティック・リンチ】

U-NEXTにて。ドゥニ監督版の第二弾が完成したが、イスラムモデルの世界をアラビアのロレンス的白人が率いるという物語は時代錯誤過ぎて最早、惹かれない。白人は特権意識を刺激されていい気分なのかもしれぬが。で、さすがにドゥニ版でも“救世主”に疑問を呈しているが、所詮はあまり変わらないと思う。

このリンチ版は、特異過ぎる個性が創り上げた二次創作物と前提した上で、見事な美術に耽溺するコトに徹すれば、今でも充分、愉しい。

キャスティングも、見た目でいえば、隅まで中々行き届いていて巧いよね。これはラウレンティスによる招集力が大きいのだろうけど。ショーン・ヤングは相変わらず、場違いに思えたけど。

リンチ版バイオメカニクス、とも思えるデザインセンスに毎度、目を奪われる。でも、バーバレラからフラッシュ・ゴードンに至る、ラウレンティスならではのレトロSFセンスも確実に混じっているハズ。その混合種としてのオモシロサが、画面に反映され未だに息づいていると思うのです。

物語の方は…語り方が酷すぎるよね。現代邦画みたいなレベルの、観客の想像力を信じない“副音声解説”な処理にはやっぱり、脱力してしまった。

ヴァージニア・マドセンが、数少ない華のある役で、個人的には貴重だと思っております。

4Kリマスター版が公開されるらしいが、気が向いたら行ってみようかなと。

<2024.5.12記>
くりふ

くりふ