月下香

時計じかけのオレンジの月下香のネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

🌙2024.03.22_24-61

「完璧に治ったね」

タイトルの意味は「Queer as a Clockwork Orange(時計じかけのオレンジのように奇妙な)」というロンドンの下町のスラング。「意思のない人間、何を考えているか分からない変人」という比喩。

「ルドヴィコ療法」によって犯罪が出来ない体質にされたアレックス。出所後に昔の仲間や被害者から報復を受ける。どれだけボコボコにされようが、治療のせいで何も反撃できずやられっぱなしでだんだん可哀想に見えてくる...自業自得だけどね。治療を受けた後のアレックスはタイトル通りの姿で、よくできた皮肉たっぷりのタイトルだ。

この作品は原作者バージェスの妻が4人の脱走兵によってレイプされ、自身も脳腫瘍で余命僅かと診断された絶望の中、残される家族への遺産代わりにと書きあげた作品との事。(脳腫瘍は誤診で76歳まで生きたそうだけど...笑)
原作では真人間になったアレックスが家庭を築くという21章があるそうだけど、出版社のミスでアメリカ版ではそれがカット。そのアメリカ版を読んだキューブリックが映画化、原作者のアンソニー・バージェスは激怒したそう...笑

面白かったけど、好きでは無い...笑
模倣犯が沢山出た影響で、27年間イギリスで上映禁止された作品。模倣犯が出たのも納得。
クラシック音楽と映像での出来事の不調和感が気持ち悪い。アート色強めだから何とか見れるけど、主人公のやってる事がエグくて前半は見るのが苦しかった。主人公たちが使用するナッドサット語というオリジナルの言葉たちも何だか不気味で気持ち悪い。
ラストのシーンでの言動を見ると結局治療によって暴力行為ができなくなっていただけで根本的な改善には何も効果が無かったんだなと彼の暴力への執着心にも気持ち悪くなった。 
月下香

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