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エレファント・マンのタロウのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.5
『THE ELEPHANT MAN/エレファントマン』




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外科医として働くトリーヴズ(演: アンソニー・ホプキンス)は、サーカスの見世物小屋にいた"エレファントマン"という男がどうにも気になってしょうがなかった。化け物呼ばわりされ、見世物とすることさえ許されていなかった彼をぜひ一度この目で確かめたい、、後日再び小屋に足を運んだトリーヴズは、ついにその男と対面を果たす。その衝撃的な容姿を見て彼は思った。「彼を、研究したい」と___
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 デヴィッド・リンチ監督作品2作目ー!
目の前の映像に困惑し続けた前作『イレイザーヘッド』の印象は強烈で、一体今作では何を見せてくれるのか自ずと期待も高まる。はてさて、、

  👀👀👀

 べらぼうに内容<<<映像!!!だった『イレイザーヘッド』を直前に見ていたこともあってか、今作の内容はとっても分かりやすかった。自身の理解が及ばないものに抱かざるを得ない畏怖の念と好奇心、色んな立場を利用して目的を果たそうとする欲深さだったり、エレファントマン/ジョン・メリックという存在が変わりゆく「人間の顔」を浮き彫りにさせていく。"こういう人/モノはこうだ"という自身の中の固定観念が覆された時に、果たしてどんな感情を抱くか?見るからにおっかない男の人が道ばたのゴミを拾って捨てていたら?いかにも真面目そうな印象の人が信号無視しているのを見たら?「わぁ!」とか「うわぁ、、」とか良くも悪くも感情が揺れ動く瞬間だと思う。
 本作では、元来持つイメージの人間とはかけ離れた姿の男性が実は豊かな感性と知識を持っていたら人々はどう接するようになるかが描かれる。ジョンに向けられる視線が徐々に柔らかくなっていき、世間の声も変わっていく。だがその一方で変わらず向けられる好奇の目もある、、上手な表現が見つからず悔しいけれど、"感情とは"を象徴的に描いていた気がする。

 とはいえ前作同様の「こりゃ何だ?!」と思わせる表現も随所に。冒頭しかり、とりわけ強烈だったのがジョンが恐れていた"夜"の場面。お祭り気分で押し寄せた客たち側の心情を反映したようなテンション高めな音楽が流れる中であれを見させられると、本当になんとも言えない感情が湧き出てくる。そしてショッキング。監督はなぜあの曲を採用したんだろう。

 ラストの言葉は、ジョンのお母さんのものだろうか?ここら辺含め、分からなかったところは解説考察へGO!

memo
・エレファントマンの風貌を見る物に明かす演出に凄まじいセンスを感じた。どこでだろどこでだろ~と思ってて、ちょっと油断してたところでのあれは、、スゴい。
・見世物小屋の興業主・バイツの姿は、現代の子ども虐待問題にも通ずるところが。いざ引き離されたら「私/俺の子どもだから!」って乗り込んでくる姿が重なった。

◎印象的アイテム◎
・頭巾
・オートミール
・ペーパークラフト
・母の写真
・化粧箱
・白い枕
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