ヨダセアSeaYoda

エレファント・マンのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.3
観た回数:2回
直近の鑑賞:映画館(4K版/20.07.16)
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"僕の友よ…"
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"私は善人かい?…それとも悪人かい?"
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【STORY】
 頭蓋骨肥大化・全身イボだらけという姿から恐れられ虐げられ見世物にされるジョン・メリック。
 外科医トリーヴズが彼を外へ連れ出した事で、メリックの人生が動き始める。


【一言まとめ】
●特殊メイクや演技はやっぱり凄い
●人間の美しい心・醜い心
●正しさとは、幸せとは…考えさせられる


【感想】
 まずやっぱり外見には触れなきゃいけませんね。実在した当人の写真と見比べても、かなり忠実に再現された特殊メイクに目を見張ります。
 もちろんメイクだけではなく、喋り方や仕草でもリアリティを高めていますよね。ジョン・ハートの演技が素晴らしいです。

 演技といえば、外科医を演じた若きアンソニー・ホプキンスもやっぱり安定した貫禄!
 彼が自宅で葛藤するシーンは、今作の山場の1つとして印象に残っています。

 圧倒的マイノリティのメリックに対する様々な人々の接し方を通して、人間の美醜や葛藤を描く今作。
 彼を物扱いしたり、彼を利用して金を稼ごうとするクズ達へのヘイトが高まるのは当然ですが、更に今作は "もっと不確かな善/悪・幸/不幸" の問いを観客に投げかけます。

 外科医トリーヴズが行ったことは善か偽善か、それとも悪なのか?
 メリックを訪ねてくるセレブ達の行いは、メリックのためになっているのか?
 トリーヴズの葛藤を通して、我々も考えさせられますよね。

 彼に温かく接する人々の美しさ・神々しさに感動する作品であると同時に、「ただ平等に接しているだけの人に感動してしまうような世界」に辟易する作品でもありますよね。
 異形の人を一目見て思わず悲鳴を発してしまったり、顔が歪んでしまうくらいはもう仕方ないのかもしれませんが、「人を平等に扱う」ことは当たり前のこと。それで感動なんかしない世界が理想ですよね。

"いい人間になろうと努力したのですが…"
が切なすぎます。

 白黒・怖そうな見た目・リンチ監督…と一般的にハードルが高そうな作品ですが、是非色々な方に観てほしい作品ですね。
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