でしょうかな

汚れた心のでしょうかなのレビュー・感想・評価

汚れた心(2011年製作の映画)
3.6
戦後間もないブラジルのとある農村。その村に住む日系人の多くは、日本の敗戦を信じていなかった。写真屋のタカハシは、陸軍大佐のワタナベによる決起に参加するが、あえなく軍や警察に抑えられる。そしてワタナベは、日系人の中の裏切り者、「国賊」の粛清を唱え、タカハシに実行役を務めさせる。

戦後ブラジルで実際に起きた「勝ち組・負け組抗争」のノンフィクションを基にしたブラジル映画。
下手したら「反日」などと呼ばれそうな内容だが、事実として23人が殺害された事件であり、デマ、同調圧力、盲信、集団の狂気など、戦時下以外でも起こりうる要素が多数含まれ、思想を問わず是非とも観て欲しい作品である。
映画としては、途中間延びした演出や、一部のやけに畏まった口調、背景描写の薄さなど気になる点も多いが、素朴な愛国心を持っていた主人公のタカハシが、苦悩しながらも、友人を裏切り者として殺せるまで決意を固くし、粛清が進むうちに日系人社会が徐々に崩壊していく、退廃的な展開を評価したい。
でしょうかな

でしょうかな