Naoko

地球で最後のふたりのNaokoのレビュー・感想・評価

地球で最後のふたり(2003年製作の映画)
3.9
美男美女が寄り添うパッケージにめちゃ甘タイトル。束の間の恋に落ちる厭世的なおしゃれムービーなのですね、と1ミリも期待せずに観たけど、キモさむおしゃれムービーでした!

浅野忠信が絶妙に気持ち悪くて、大阪ヤクザを絡めてくるギャグもちょっと冷やっとする寒さ、突然読み上げられる孤独の詩も自己完結するオタクの匂い、聞き取りにくい日本語英語で排他な雰囲気満載。きっと見る人を選ぶと思うのだけど、たまたま私の中の様々なものが呼び起こされて、スルッと中に入っていくことができました、楽しかった!

ゆるやかに流れる映像が気持ちがよい。特にパタヤ。汚い海辺の観光地だけど、雑然さがもたらす居心地の良さ。寄せては返すゴミだらけの汚い海水の温もり。バンコクのチャオプラヤー川の冷たい感じと対象的。シンプルな夜店でダラダラ遊ぶシーンがじわじわ好き。家も良い。外なのか中なのかわからない開放的な作り、ぬるーい風と人の気配が漂う親密なお家。

私にとっては話の筋というよりは、冷たさと温かさ、孤独と親密さ、男と女、日本とタイが、ゆるやかーに混じっていく、その流れに身をまかせてたら気持ちよかったって感じの映画でした。また見たい。
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