⚪概要とあらすじ
日本の人気作家・平安寿子の短編小説を、韓国で映画化。
仕事も恋人もなく、貯金も底をついた30代の女性ヒスは、1年前に別れた男ビョンウンに貸したままの350万ウォンを返してもらうため、ビョンウンがいる競馬場へ行く。能天気で甲斐性なしのビョンウンを信用できないヒスは、ビョンウンがあらたに借金をするために知人の女性たちを訪ね歩く旅に同行する...。
⚪キャッチコピーとセリフ
“最低な今日が、最高の笑顔で終わる。”
「少し心が痛かったんだ」
⚪感想
『アドリブ・ナイト』と今作ともに日本人の方の原作をイ・ユンギ監督が韓国で映画化した作品。
なんか切ないと思ったら温かくて結構泣いた。
350万ウォンって日本円で35万円もいかないくらいなのかな?
一年前に別れた男性の元へ女性が来て、その日のうちに以前貸したお金を返してと言ってくる。男性はそのお金返すために友人に会いに行きお金を借りる。
ただそれだけの映画なのに面白い。
最初からとにかくキレているヒス。ずっと機嫌が悪いし、ビョンウンに悪態をつくんだけど段々と解れていく。
そこそこ態度に共感できてしまう。居心地の悪さとか少しの嫉妬。
ビョンウンはヒスとは正反対で全く怒らずのほほんとしてどんな人からも信頼され愛されている。
だらしがなくてろくでもない男なのかと思いきやこんな人が彼氏だったら最高すぎるでしょレベルでかっこいい。ハンカチ持っている男に悪い人は居ない。
ヒスを演じるのはチョン・ドヨン。『マルティニークからの祈り』や『男と女』の時よりもメイクが濃いせいか綺麗さが半減してる。髪型もショートめよりセミロングの方が似合ってる。
ビョンウンを演じるのはハ・ジョンウ。『お嬢さん』でウザかった役を演じていた人じゃん。全然違く見える。
ヒスもビョンウンもどっちも人間らしくってなんか好き。言い合いも元恋人だけあってこなれ感。
お互いがなんとなくだけど好みを知っているのが素敵。
期待していたよりも面白かったし、ラストも優しくって好き。
飽きずに観られるロードームービー。
⚪以下ネタバレ
個人的に幸せな『ラ・ラ・ランド』みたいな雰囲気を感じた。内容は全然違うんだけどね。
全然分からないんだけど何故か電車のシーンではヒスにつられて悲しくなったし泣いた。ビョンウンはヒョードルの話。
ヒスがビョンウンと別れる時にビョンウンが「ワイパー動く?」みたいな仕草をしてヒスがそれを確かめているうちにビョンウンがもういなくなっていて悲しくなったけど、一人になったヒスが一日を回想して幸せそうに笑っているのが嬉しかった。そのあとは借用書があって、ビョンウンがまだ帰らないでイタリアのお酒を試飲していてさるんだけど、さらにまた後でお店を出しました的な展開。
お肉を食べたところでヒスが見たのはヒスとビョンウンの出会いなのかな。ラストもその出会いが生かされていたし。
高級マンションを出た後に出会った夫婦のやり取りにはハラハラした。
自分の妻と寝たのか聞く夫と怒って出ていく妻。ヒスは「追いかけた方がいいんじゃ」というが夫は「すぐ帰ってくる」と言う。その言葉の通りすぐに帰ってきて仲直り。なんか分からないけどチクッとする。
自分だけがと卑屈になり追い込まれていたヒスがビョンウンを通して様々な出会いを迎える中で解れていく。
特にシングルマザーの「ビョンウンが私以上に辛い時でも助けようとしてくれた」的なセリフが結構響いたんじゃないかなって思う。
多分ヒスはお金のためだけに会いに来たわけじゃなかったと思う。
⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。