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望郷のkojikojiのレビュー・感想・評価

望郷(1937年製作の映画)
3.7
戦前フランス🇫🇷映画の傑作と言われる本作は邦題「望郷」のイメージも重なってずっと観たいと思っていた。

ジャン・ギャバンが日本で不動の人気者になったであろうこの映画は、当時の日本人に相当のインパクトを与えたに違いない。
小さい頃よく聞いた歌謡曲の「カスバ」のイメージはまさにこの映画のイメージであり、日活アクション映画にもその影響は強く残っていたような気がするからだ。
因みにこの映画は1939(昭和14)年キネマ旬報ベストテン1位になっている。

#1430 2023年 462本目
1937年 フランス🇫🇷映画
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
製作:レイモン・アキム、ロベール・アキム
原作:アシェルベ(アンリ・ラ・バルト)
脚本:アシェルベ探偵(アンリ・ラ・バルト)、ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚色:ジャック・コンスタン
台詞:アンリ・ジャンソン

アルジェの一角にあるカスバは犯罪者が流れ込み無法地帯となっていた。
この映画の主人公ペペ(ギャバン)もその一人。彼はいつしかそこの顔役になっていた。
しかし威信にかけて逮捕に臨むフランス警察の追及も厳しく、ペペはカスバから一歩も出ることができないでいる。

そんなある日ペペは、故郷のパリの女性ギャビー(バラン)と知り合い、彼女に惹かれる。
いつしか望郷の念と彼女の思いから、二人でカスバを抜け出すことを夢見るようになる。

ジャン・ギャバンの映画を最初に観たのがドロンと共演の「地下室ののメロディ」もうすでにおじいちゃんのイメージだったので、この映画のギャバンはちょっと別人ように若い。当たり前だが。

ペペが恋に落ちるギャビー役のミレーユ・バランの容貌はすごく個性的だ。彼女のアップに紗がかかっていて(この表現はしづさんに教わりました🙇)、しかもひかり輝いている。いやでも綺麗に見せるよう工夫している気がする。効果はある。眉は例によって戦前の超細い眉(これは私は好きではない)
ただこれだけの重要な役の割にあまり目立たないのは何故だろう。
どちらかと言うと、情婦イネス(リーヌ・ノロ)の方が目立っている。

この映画は、アメリカ映画「カサブランカ」にも相当の影響を与えたと言われている。
ストーリーは極めてシンプルだが、若き日のギャバンの魅力を堪能できる。ラストのぺぺの叫びが切なく心に残る。
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