トゥーン

イディオッツのトゥーンのレビュー・感想・評価

イディオッツ(1998年製作の映画)
3.7
愚かになろう。
障がい者差別に関する映画ではなく、人間の本性に迫る映画だ。ラース・フォン・トリアー監督は、差別を描くときでも、差別そのものを描くのはなく、そこから派生して人間とはを描くから好き。
医学によって示されていないだけで、私たちの中にも愚かさは潜んでいる。医者でも薬の名前が分からないというシーンがあったように、本当は人よりも足りてないところは名前がまだないだけで何かしらある。それでも人は自尊心や承認欲求からその愚かさを隠す。しかし、内なる愚かさを曝け出す方が幸せになれるのではないだろうか。その曝け出す方法が本作では障がい者を演じることであった。
無意識のうちの差別を前半で映し出す。急に本物の障がい者が現れたとき、キャストがフリを続けられなかったことが如実に現れている。それにより、後半、私たちがどんなに願っても消えない差別心の罪を主人公は請け負うことで、自身を救おうとすることが分かる。ある種の開き直りである。でも、家族がいきなり障がい者のフリしたら、ふざけていると思うけど。
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