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流れるのodyssのレビュー・感想・評価

流れる(1956年製作の映画)
4.0
【田中絹代のすごさを知りました】

置屋を営む女性(山田五十鈴)を中心にして、その娘(高峰秀子)、芸者衆(杉村春子、栗島すみ子、岡田茉莉子)、女中(田中絹代)などを描いた映画。

それぞれに個性を発揮していて、私の好みから言うとやはり岡田茉莉子の魅力が光っていますけど、それはともかくとして、この映画でいわば要衝を占めているのは女中役の田中絹代でしょう。

私は田中絹代の登場する映画はそれほど見ていなくて、それは彼女が1909年生まれで女としていちばん魅力的だったのは戦前ですし、また戦後になって私が物心ついた頃(昭和30年以降)には結構な年になってしまっていたからです。

この映画も、私が幼児だった頃の作品で彼女ももう四十代半ばを過ぎていますけれど、この女中役、すごくはまっています。女中さんいっても言われたことをやっていればいいのではなく、家庭内の状況を的確に判断して自分から動いていかなければならなのですが、その辺が見事。

脚本がいいということもあるでしょうが、こういう女中さんがいたらお金がかかってもいいから雇いたいなと思ってしまう。何より、品があるのがいい。女中だからといってがさつな女はいけません。使用人こそ、品がなければならないのです。

これから彼女の出演作は注意して見てみようと思いました。
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