映画男

流れるの映画男のレビュー・感想・評価

流れる(1956年製作の映画)
3.0
この映画(というか成瀬の映画の多く)は、台詞だけ追っていくと金とか人間関係とかのドロドロしたゲスい会話ばっかりでまともな人はあんまおらん。奥底にあるものは「ゴッドファーザー」に似てる。エゲツない弱肉強食の世界。諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色盛者必衰の理をあらわす〜。的な。終盤で芸者のドンが『川向こう』にほかの芸者を送ろうかと女中に話すところはドン・コルレオーネの冷徹な所業を連想させた。あの馬の頭のヤツ。それでもこんなに情緒深く、風情あるようにサラッと撮ってしまうのが成瀬巳喜男の底力だと思う。
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