このレビューはネタバレを含みます
気づいたら当時観たときより、主人公にかなり距離を置いて観ていた。(だいぶ時間が経過して、自分の純なところが削られてしまったせいかも、、)
世の中には悪人もいる。
善意しか信じていない主人公。お金があると、周りに匂わせてはいけないのに…。
所々で主人公の空想の世界、ミュージカルが出てくる。
「見るべきものはもう見たわ」
だが、ミュージカル作品の楽しさやワクワク感は無い。主人公がこれは空想(妄想)だと解っており、その心情を表しているせいか、どこまでも日の光が当たらず暗いのだ。
手持ちのホームビデオで撮ったような画面、人の顔のアップや台詞の吐露もまるでドキュメンタリーのようで、不安感を煽る。
淡々と罪を受け入れるセルマは、まさに現代の受難、イエス・キリストなんじゃないか?そして彼女の息子に父はいない。息子を護りぬこうとする様子はまるで聖母マリアだ。
何故こんなにまで彼女を痛めつけるのだろう?
その問の答えは、彼女がこの世に生まれてきた意味に繋がるのかも知れない。
ラストシーン
彼女には最期まで自分を励ます音楽(唄)があった。
これは最後から2番目の歌。
死さえも厭わない。
だって、魂が死ぬわけじゃないから。……