カラン

きっと ここが帰る場所のカランのレビュー・感想・評価

きっと ここが帰る場所(2011年製作の映画)
3.5
ソレンティーノ4作目。良いと思うが、どうも腑に落ちないところもある。芸術は芸術的であるほど腑に落ちないところはあるものだが、芸術的な要請というのとは別のところであるように思われるので、星3.5とした。最近劇場で観たものを挙げると、マーヴェリックはゼロに近い星1、ジュラシックワールド/新たなる支配者3Dは2.5、アヴァター3Dは3、これらは語ることで他人に無意味な違和感を呼びおこすだけであろうから、レビューはしない。そこで私としては基準を設けて、今のところ3.5未満はレビューするのはやめようと思っているのだが、、、本作は割と面白く視聴したのだが、、、どうにも違和感がぬぐえない。割と面白いのだ。さすがソレンティーノと言いたいのだが、、、

ソレンティーノ監督は尊敬しているので、もう一作(『イルディーヴォ』)は観る予定であるのだが、本作を観ていて、いよいよ疑問に感じたのは、グラウンドが何故に常に有閑階級なのか?である。そこがどうも納得できない。

ロックの本質は裕福さではない。ロックとはロックスターのことだとするのはデミアン・チャゼルなみに酷い音楽観である。何故ショーンペンを金持ちの有閑階級としたのか?どうも意図が分からない。ショーンペンの意向だろうか?それとも、トーキングヘッズのおっさんだろうか?こんなおっさんはロックとはなんの関係もないように思えるが。。。実際、彼の出演シーンの後のアコースティックな楽器による劇伴はとても自然に感じるのだが。。。デヴィッド・バーンやらミック・ジャガーだのという話しが妙な権威主義にしか感じられず、ロックの精神との圧倒的な乖離を感じざるをえず、懸案の有閑階級について語らざるを得ない。。。権威とロック、あまりに不愉快な悪しきコンビじゃないか!


10年以内に見返す可能性はある。その時には、ソレンティーノと意気投合したショーンペンによるナチに対する安い復讐ではないことを祈る。ウクライナに出向いたショーンペンがどんなフィルムを残すかも気がかりだ。
カラン

カラン