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視線のエロスのtakのレビュー・感想・評価

視線のエロス(1997年製作の映画)
3.5
上映時間すべてが主観ショットのみの擬似不倫体験。お話は出会いから別れまで、というシンプルなもの。主人公の建築家フランソワは、ミュリエルという女性と出会う。妻子あるフランソワだが彼女に迫り、ついにその一線を越えてしまう。次第にミュリエルの独占欲に火がついていき、関係は次第にこじれていく。

主人公の姿が見られるのは鏡に映る場面だけ。挑戦的な撮影法は確かに面白い。今ならスマートフォンで映画撮れる時代だから、似たような手法だともっと生々しいんだろうか。ミュリエル役のイザベル・カレは透明感のある綺麗な女優さん。オドレイ・トトゥ共演作くらいしか観たことないな。

女性を愛でる幸せって確かにある。それだけの100分超なら確かに眼福。しかしこの映画は徹底的にフランソワの目線で、最初から最後までを映し出す冷酷な映画。出会って、口説いて、断られて。でも執拗に迫って、裸見るだけと納得させて、その後…というのが前半。これらがすべて主人公の目線なのだから、アダルトビデオで似た企画がありそうなもの。だが後半は一転して、僕らはフランソワの視線と一体になることから心が離れていく。奥さんと寝てるベッドで私を抱きなさい、と迫られる場面。同じイザベル・カレの姿を見ている映像なのに、そこに感ずるのは前半とは全く違う感情。

観終わって、どっと疲れたのだけはよーく覚えているのです。この映画を観て、教訓と捉えるかどうかは貴方次第ww
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