ダルマパワー

野良犬のダルマパワーのネタバレレビュー・内容・結末

野良犬(1949年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

盗まれたピストルを取り返す物語。
中村は自責の念にかられる。先輩刑事にはいい加減にしろと、何度も諭されるが、それでも中村の責任意識は最後まで消えない。その1本通した信念で、ピストルに打たれても尚、的に食らいつきついに取り返す。

野良犬は誰か。
野良犬は吠える。ただ、強いから吠えるのではなく、相手を威嚇する為に吠える。怖いから。

ユサは、まさにそれだと思う。
誰も本当は攻撃したくない。
ただ、流されて、流されて、彼は結局人を傷つけ、殺してしまった。

あのラストの後悔の泣き叫びは好きだ。

汚いところにはウジ虫がわく。
この言葉も胸に焼き付いた。

ユサと中村、同じ若者で、弱さを持っていた。違ったのは、回りの環境かもしれない。それか、追い込まれたときに、自分が何を選択するか。

暑さや雷雨が主人公達の心情をよく表す。

何よりも、徹底的に時間の経過を、サボらずに描く。撮る、表現する姿勢が、観ている人を、強く同じ気持ちにさせてくれた。つまり、観ていてしんどかった。笑

ハルカがきれいな服を着て踊るシーンも、昔ながらの、どこか浮世離れした強い表現ではあったが、ハルカの罪悪感と強く取り繕う姿がよく現れていた。

泥臭く生きる人のぬめっぽさを肌で感じられた映画だった。
ダルマパワー

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