似太郎

都会のアリスの似太郎のレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.6
【なぜここにカメラがあるのか?】

写真家兼・映画監督のヴィム・ヴェンダースによるアメリカへの憧憬をヒシヒシと感じさせるロード・ムービーの秀作。同年に公開された『ペーパームーン』との類似点を感じる。

風景は、普段風景を見ない閉じられた者によって作られるという。(柄谷行人『日本近代文学の起源』より引用)
本作がまさしくそれに該当する。内省的な監督ほど風景に拘りやすい。

本作はまるでジャック・ケルアックの究極のビートニク小説『路上』を読んでるかのようなアメリカ巡礼紀行のようにも思えるが、カメラを手にしたカントク自身=ヴェンダースの内省がほとんどを占めており、若干自閉的な雰囲気が漂う。

移動(モーション)が生み出すエモーション。これがまさしくロード・ムービーならではの味わいとも言える。主人公が拾った女の子アリス(これがまた美少女)も可愛く撮られており、フラフラヘロヘロな旅を若干ユーモアを交えて作られてある初期ヴェンダースの代表作にして傑作。

いわゆる「厨二病」を拗らせてる時に観ると尚更感化されそうな映画だ。(*^^*)
似太郎

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