半兵衛

早乙女家の娘たちの半兵衛のレビュー・感想・評価

早乙女家の娘たち(1962年製作の映画)
3.8
四姉妹役の女優がそれぞれハマっていて楽しめるホームドラマの佳作、ただその中で輝いているのは嫁いだ長女に変わって両親のいない家を切り盛りする次女の香川京子と四女の田村奈巳である。

香川京子はデビュー作以来話題作や名作に相次いで出演してきたレジェンドクラスの名女優だが、同時にその愛くるしい顔だちと守りたくなる妹的なキャラで絶大な人気を得たアイドル女優でもあったりする。様々な不安やトラブルを抱えながら必死に家を守るが、どこか頼りなげでそれらのプレッシャーに耐えきれず泣いたりする次女の役柄はまさに香川のアイドルキャラとしての集大成と言える。そして同じ原作者・監督コンビによる『女の暦』を見ていると、「あの末っ子がこんなに立派に…」という気分になる。

田村奈巳の男勝りでキュートな妹役も最高で、今の人は次女よりこっちの方に萌えを感じるかな。勝ち気なくせに不審者が家に入ったことに対しめちゃくちゃ怯えたりする姿もテンプレだけど可愛らしい。

でも一番演技が上手いのは長女の津島恵子かな、外見は慎ましく一見しっかりもののようでいて実は夫や他人の意見におろおろしっぱなしの頼りない姉キャラをナチュラルに演じている。三女の白川由美は役者のイメージ通りのキャリアウーマンをサバサバと好演。

織田政雄や松村達雄といった名脇役もいい仕事をしているけれど、それ以上に藤子不二雄の漫画から飛び出したような不良のキャラのインパクトが強すぎて吹き飛んでしまった。よくあんな漫画のような顔だちを見つけてきたな。
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