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自由はパラダイスのbennoのレビュー・感想・評価

自由はパラダイス(1989年製作の映画)
4.0
ソ連/ロシアのセルゲイ・ボドロフ監督作品…初鑑賞です…。

13歳の少年の所謂…"父をたずねて三千里" のロードムービー…。


そばかすだらけの13歳の少年サーシャ…まるでルナールの"にんじん"を思わせる風貌…ただ手の甲にはСЭР(自由はパラダイス)のタトゥー…少年院に何度も出入りする札付きのワルです…。

実際サーシャを演じたV. コズイリョフは少年院にいた少年だそうです…(ジャケ写よりもっと可愛いですよっෆ*)

彼の行き当たりばったりのふてぶてしさも…生きる術…それでも端々に感じる子供らしさに安堵を覚えます…。

少年院はまさに旧ソ連そのもの…鈍重で残酷…看守のやりたい放題、折檻は日常茶飯事…。

サーシャにとって唯一頼れる心の拠り所となる人物の存在は…投獄中の父親のみ…。

彼は父に会う為何度も脱獄を試み…その都度、連れ戻されることを繰り返し…終いには、わざと釘を飲んで病院へ、そこから脱獄を図ります…。 

トラック、列車、フェリーを乗り継ぎ…洋服やお金を盗み…様々な人と出会って漸く父親のもとへ…。

ベタですが…父親と抱き合う姿や監獄で父と過ごす一夜…ふたりの会話は泣けます…ს

一貫して涙も笑顔も見せないサーシャ…その姿は観ていてとても苦しい…もっと愛情を与えたい…抱きしめてあげたい…。

そして…余韻はあるものの、これでもかのリアリティ…やはりソ連…。
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