seapony3000

泉のseapony3000のレビュー・感想・評価

(1956年製作の映画)
4.0
元華族の佐分利ンが秘書の稲子をモノにしようと別荘誘って、稲子もおじさまずき?まんざらじゃなさそう…ってヤラシー展開になるのかと思いきや。村の住人と別荘組の摩擦問題も絡めて、要は有馬稲子のスピリチュアル物語のような。モテて自尊心の高い稲子が頭ガチガチの固い佐田啓二を軽くあしらい、佐分利ンの他界で落ち込み、後釜を狙う加東大介に言い寄られ、村の朴訥な渡辺文雄に上から目線で惹かれるもあっさり冷たくされてまた佐田啓二へ近寄ったり。…と稲子中心かと思いきや佐田啓二にフラれた我らが桂木洋子パートもあり。じっとり暗い洋子の手紙の鬱陶しさ。丁寧に筆でしたためた卑屈めいた感情。佐田啓二は佐田啓二でフッたはずの桂木洋子を追いはじめ。んもーどっちにすんの!ってダラダラした展開で最高。みなさんタイミングに流されながら自分自身の水源求めて彷徨いつづける。佐田啓二と桂木洋子の砂丘での美しい場面、ふたりともどこからここまで歩いてきたのか。クライマックスの発破シーンも危険すぎるし、トリカブトを取りに転がり落ちる稲子と佐田啓二の別れのシーンもあっさりしていてなんか良い。
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