らんらん

白と黒のらんらんのレビュー・感想・評価

白と黒(1963年製作の映画)
4.0
若手弁護士である浜野(仲代達矢)は痴情のもつれで師匠の奥さん(淡島千景)を絞殺し、とんずら
しかし捕まったのは別人、強盗殺人の疑いで前科のある札付き者脇田(井川比佐志)が逮捕され、そして犯行を自供してしまうのであった、、、

主人公は脇田を尋問し自供させた検事落合(小林桂樹)、盗みの証拠は揃ってるし、殺害にしても状況的に脇田が濃厚、さらに当初は否認を続けるも8日目に自供したのもあって裁判はこれからだが事件は終わったかに見えた
一方真犯人である浜野はその事件以後人が変わったようになり、塞ぎ込み挙動不審が見られた、そんな中さらに脇田の弁護士の一人として裁判に参加することになり、ますます不安定に
検事落合は浜野のそんな様子や脇田の自暴自棄さから引っかかるものを感じ、補充捜査を行い隠された真相を探っていく、、、

かなり見応えある作品でした、やはり出演者の豪華さ、名優ぞろいで物語に深みを持たせているかと
クライマックスの落合と浜野が対峙し、事の真相を述べていくシーンが印象的
小林桂樹の語りが凄い、とうとうと推論を述べていき追い詰める、あれはやってなくても落ちるんじゃ?ってくらいなんか凄かった
そしてそれまでは何も思わなかった浜野の彼女(大空真弓)にしても、落合の語りによって気付かされる内面、ここ凄い上手いと思う!
それによってそれまでの大空真弓の言動の裏が見えて、なるほどと思うのと、そのしたたかさに感心、その言葉によってそれまでの見方が変わっちゃうっていう

ラストのどんでん返しは意外ではあるが、なんかそう来るんだろうなぁと
これは予め尺がわかっちゃってるから、まだ20分くらいあるし、なんかありそうって身構えちゃうもんね
ここで上手いのは落ち度があるはずの警察、検察なんだけど、真実を明らかにした事で検事落合は一躍時の人として喝采されてからの落とし
そして問い詰められ真実を語る本当の真犯人脇田の供述、あそこの井川比佐志の皮肉っぷりも良かった

落合の奥さん(乙葉信子)は真相が明らかになっていっただけ、落ち度はないって言ったけど、
全ての結果を知ってからだと複雑ですよね、事件に踊らされバカをやったみたいに自嘲しちゃいますよね

正直こんなことは誰しも予想できるはずもなく、都合が良すぎるくらいありえない事例の一つだと思う
けど!それが真実っていうんだから深いところですよね

こんな事例が他にもあるかもしれない、けどこんなことは考えもつかない、ほとんどありえない事、裁判制度、人が人を裁く、死刑判決の是非、警察検察のメンツ、などなど考えさせられました

シリアスな空気の作品ですが、何かと小林桂樹の痔のネタが出てきてほんわかさせる
仲代達矢の演技も良かった、事件前、事件後、そしてラストと表情やキャラが明らかに違っていてその演じ分けも見事
淡島千景はクレジットではトメ、重要な役ですが出番自体は冒頭くらいしかない、回想でもっと出るのかと思ってたので少し残念
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