菩薩

赤ちょうちんの菩薩のレビュー・感想・評価

赤ちょうちん(1974年製作の映画)
3.3
「生きてることはただそれだけで哀しいことだと知りました」と歌うかぐや姫の楽曲がモチーフになっているだけあって、基本的に辛気臭いしポジティブな事なのほとんど起きやしない。今より少しはマシに…と転居に次ぐ転居を重ねても状況は悪化するばかり、おそらく経済的にも大した余裕はなく、あっけらかんと生活を続ける夫に対し若き妻は幼子を抱え日々のダメージを募らせていく。横が火葬場では1人でおちおち寝てられんと、見ず知らずの男と床を並べていた妻がある日豪勢なベッドを購入する、精神的成長を伺わせる一面かと思いきやむしろ破綻を知らせる一幕であり、その後鳥アレルギーをトリガーとして遂に彼女は発狂する、秋吉久美子の怪演が光る。義眼のくだりはちょっと意味不明であったが、誰も信じられなくなった妻が遂に自分すら見失うラストは結構衝撃的、残された夫と幼子はまた新たな住処を求めて彷徨うのであった。
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