菩薩

鉄の男の菩薩のレビュー・感想・評価

鉄の男(1981年製作の映画)
3.9
『大理石の男』の続編、半ドキュメンタリー作品。『大理石の男』が現在から過去への回顧の話であるならば、こちらは未来へ向かっての前進の作品、と言うわけでレフ・ワレサ本人も登場する(ボールペン超デカイ!!!)。ストの扇動者を失墜させる為に派遣されたリポーターが、彼の周辺人物に接触を重ねていく過程で徐々に感化され、自らの任務に疑問を持ち始め、遂には彼の側に立つ事を決意し歴史的勝利の瞬間の目撃者となっていく。学生に労働者が連帯せず、逆に労働者に学生が連帯せず敗北を喫した68年三月事件・70年十二月事件、そんな悲劇を乗り越え、地方で始まった小さな反抗が遂には国を巻き込み、レーニン造船所での大規模ストライキはワレサの連帯発足、そして人民の勝利へと繋がっていく、その様は感動すら覚える。とまぁ結局この勝利は最後の副大臣の捨て台詞の通りに一時的な物で終わり、ポーランドはその後戒厳令へと突入していく訳だけど、そこらへんの事情は『ワレサ 連帯の男』を観ていただければ良いと思う。ワイダが文字通り命を懸けて作り上げ、そしてその年のパルムドールに輝いた力作、編集が多少雑なのは…検閲のせいなのかなぁ…なんてね、見応えはもちろん十二分にある。
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