Fitzcarraldo

反則王のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

反則王(2000年製作の映画)
2.5
韓一銀行(現ウリィ銀行)の行員でありながらもキム・イル(大木金太郎)に弟子入りし1973年にデビューして、そのまま銀行に勤めながらプロレス活動も続け、2004年にレスラーを引退した実在のプロレスラーであるペク・ジョンホをモデルにしてたキム・ジウン脚本監督作。

だから冒頭にはキム・イル(大木金太郎)の試合映像が流れるのか…。劇中にも人気選手としてキム・イルの名前があがるが、そもそも大木金太郎とキム・イルがイコールで繋がる人は相当なプロレス好きだと思われる。

『神田伯山の真日本プロレス』を見て、へぇと喜んでるくらいでは、まだまだ入口にも立ててないような気がする。

あの冒頭を見て、「あぁ大木金太郎ね!いや、これはキム・イル名義の試合だね!」とか分かったりするのかな?それはそれで相当気持ち悪いけど…自分の好きを突き詰めた人の話は、唯一無二だし何よりオモシロイ!

女の尻ばかり追っかけてるような見た目ばかり気にしてるペラペラに薄いチンカス野郎より何倍も好感がもてる。


キム・ジウン監督
「一言で云えば”総合ギフトセット”のような作品です。言い換えると…現代を生きる気弱な小市民で無気力な男が、限界にぶち当たって恐怖を感じながらも、その限界ち立ち向かって克服しようと、がむしゃらに生きる姿をコミカルに、そして寓話的に描いた作品です」

ソン・ガンホ
「より重要な点はこの映画が、誰もが共感できる人生の”自画像“ということです。人生が語られているからこそ、見た人は感動を味わえるのです。ですから、この映画を見た人は忘れかけていた夢や希望を思い出すことができます」

人生が語られるとは大袈裟だし、夢や希望を思い出すことも残念ながら全くなかった…。

それにしても、もう少しインタビューの場所とか考えなかったのか?恐らく私服だと思われるダサイ服で、あまりにもお粗末で暗い一室でのインタビュー。

ソン・ガンホがまだ33歳と若くシュッとしている。これも役作りで痩せたのか?若いから単純に痩せてたのか?とにかく痩せてるからか声の印象もどこか違う。これは肥ったからこそ売れたという好例のような気がする。本作のような線の細いままだったら、売れてないんじゃないかと勝手に想像する。ソン・ガンホ十八番のトボけても憎めないあの感じが消えてしまっている。


○外
ボコボコに袋にされてる若者を助けに入るソン・ガンホ演じるイム・デホ。その後ろの壁にデカデカと韓国代表のサッカー選手がスライディングを避ける姿に「FIGHTING! KOREA!!」と描かれた壁画。落書き?としたらよく描けてる。日韓ワールドカップの前だからこの時期は盛り上がってたのかな?


○イム・デホ実家
家に帰ると、ハゲ散らかした親父が一人で花札をやっている。

日本で花札と云ってもルールすら知らない人が多いと思われるし、いまだに対面でやってるぞという人を聞いたことがない。
先日、電車の中でスマホのゲームで花札を真剣にやっているおじいちゃんを見たけど…やはり上の世代しかやってない印象である。

韓国人にとって花札はゴーストップという名の国民的なカードゲームのようであるが、日本同様に韓国でも若者たちは花札をやらなくなっているのではないかと想像する…『ミナリ』のユン・ヨジョン演じる悪徳おばあちゃんのような人が家系にいないと廃れてしまうのではないだろうか…

かく云う私も花札を全く知らないので、普及活動のために覚えようと思う。

しかし嫌韓の日本人や、反日の韓国人らは、日本発祥の花札が国民的なカードゲームになるまでに深く浸透したこういう文化交流を、どう捉えているのだろう?


○夢の中
ソン・ガンホのエルビスプレスリーのコスプレ姿が拝めるのは、レアな気がする。歌も唄ってるけど…これ吹き替えっぽいなぁ?

仮面男が登場!
エルビス対仮面男の対決!

ソン・ガンホ吹き替えじゃなくてプロレスシーンも演じてる!かなりクオリティ高い連続技まで披露!こんなに動ける人だったのか…『殺人の追憶』でドロップキックをお見舞いするシーンがあるが、ここで既に下地が出来てたのね…どうも良すぎるくらいのキレがあると思ったら…


○スポーツ用品店
イム・デホ、マスクを探してるのか?
股間を守る用のプロテクターを何度も顔に当てて試着する。
それを見て、股間用だよとジェスチャーで伝えるやる気のない店員。全く喋らないけど、ガム噛みながらいい感じ!
この店員さんは、新しき世界の人かな?

調べたらパク・ソンウン。『新しき世界』の人でした…やはり顔が印象深いから台詞なくてもインパクト残してる。


○電車内
日本の電車内と全く変わらない。車内にいる人たちの服装やら立ち振舞いまで本当によく似てる。こう見ると改めて同じ東洋スタイルなのだなとつくづく実感する。反日だの嫌韓だの、いがみ合ってないで仲良くするべきである。


○プロレス試合
トップロープからのバク宙を綺麗に決めるイム・デホ。メイキング映像を見ると何度も練習してる様子が…ソン・ガンホすげぇな!運動もいけるのね、そこまでやられちゃったら完全に無双状態だね。こりゃ君しか勝たんわ。


しかし最後になんでソン・ヨンチャン演じる副支店長と闘う必要があるの?いらんやろ?さらに雪まで降ってきて、その雪に滑って転んで…それで終わりって…

そもそも副支店長がイム・デホに毎度毎度ヘッドロックをかますというのも…全く笑えないうえに、理由もよくわからないから困る。
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