エリオット

夜は千の眼を持つのエリオットのレビュー・感想・評価

夜は千の眼を持つ(1947年製作の映画)
4.3
「大時計」の監督というよりはミア・ファローの父親といったほうがよいジョン・ファロー監督のノワールドラマ

まず「夜は千の眼を持つ」というタイトルがいい。
いわゆる千里眼の能力を持ってしまった主人公(エドワードGロビンソン)がかつて愛した女性の娘が星空の下で横たわって死んでいる姿を予知してしまうところから始まる話なのだが、娘が仰ぎ見る夜空に星々が輝いている様子をこのようなタイトルで表現しているところが洒落ている。

予知能力を持ってしまった男の悲劇という意味ではクローネンバーグのというよりはクリストファー・ウォーケンの「デッド・ゾーン」が思い出されるが、そちらが大時代的な事件につながっていくのに対し、こちらはあくまで個人的である意味ロマンティックな出来事の範囲にとどまっていて、それが余計に主人公の孤独や寂しさを強く感じさせる。
エドワードGロビンソンがそんな孤独な男の悲哀と自分で何とかしたいという悲壮感を本当に上手く演じていて、特に彼の独白がとても文学的なところが心に残る。
エリオット

エリオット