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愛怨峡のMovingMoviesのレビュー・感想・評価

愛怨峡(1937年製作の映画)
4.0
溝口健二の作品に登場する女性は耐えるイメージが強い。『折り鶴お千』『残菊物語』『雪夫人絵図』『西鶴一代女』『山椒大夫』多くの作品が思い当る。
そのなかで本作の女性は煮え切らない男を東京への駆け落ちに追い込む。自分を捨てた男を逆に捨て返す。のちの『赤線地帯』に通じるたくましいところに好感が持てる。
列車で東京へ行くときと、帰る時で同じ列車のはずなのに世界が大きく変わっているという対比。ベルイマン『不良少女モニカ』や『サイダーハウスルール』でも使われていました。
愛恨峡という題からもっと湿っぽい内容を想像するけれど、多くの溝口作品と比べてむしろスッキリしました。