ブロオー

ガープの世界のブロオーのレビュー・感想・評価

ガープの世界(1982年製作の映画)
5.0
素晴らしい作品だった。
書きたいことが多いが、どれだけ書けるものだろうか。
序盤は大林宣彦に似た雰囲気を感じていて、監督が作家性を出したときは、笑いのセンスがダイレクトに映画の雰囲気を決めてしまうなと思わされた。
中盤でヘレンがガープに妊娠を告げるシーンでは涙が出てきたし、ガープが事故から回復して最初に発した言葉にも涙が溢れてきた。荒れ出した葬儀場からガープを連れ出したエレンの姿にも感動。舌を切られたエレンが身振り手振りでガープに思いの限りを伝える姿が美しかった。この作品は言葉に対しての感度が本当に高いと思った。
プーはもう一人の大事なヒロインで、彼女が発する言葉はたぶん「ガープ」という一言だけだったと思う。
ガープの「父親なんて決して必要ではなかった」という言葉もいいし、大林宣彦とか宮崎駿とかに共通するマザコン気質というか、女性へのややいびつな愛が映画に出ていて、いびつであっても愛は愛だし、それは本当に素晴らしいことなのだと讃歌する強い意志が最後まで作品に寄り添うようにあった。
傑作です。