【ハンプティ・ダンプティの奇術喧嘩】
シュヴァちゃんの映画デビュー作。2人のマジシャン?が技自慢を始めるが、バトルの向かう先はおかしな方向へ…。
いま見ると驚きや独自性はなく、賞味期限切れにも感じますが、シュヴァの基本が既に揃っている。特に“対話の不可能性”はこの後、何度も繰り返されるテーマですね。
一番の特徴は、最大の武器であるストップモーション・アニメを殆ど使っていないこと。が、バトルが狂い出す場面では、それがしっかり効いている。制作の経緯は知りませんが、作る途上でアニメの力に気づいたんじゃなかろうか?
このバトルは正直、生舞台で見た方が面白いと思う。特にシュヴァちゃんは、投写映像と組み合わせた演劇を見せる、ラテルナ・マギカという舞台集団で仕事をしていたのだから、可能だったはず。
生舞台から映画に移行する途上で、良くも悪くも試行錯誤がそのまま現れた作品では?という気がします。
人間もどきがカラクリに翻弄される、という処もシュヴァの基本で、全体主義への鬱屈が、そこに顕れているように思います。
シュヴァちゃんの原材料を知る映画としては、貴重ではないでしょうか。
<2023.12.15記>