かわたん

女人哀愁のかわたんのネタバレレビュー・内容・結末

女人哀愁(1937年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

面白かったし、終盤気持ちよかった。途中までの陰湿な家庭を描写する、エンプティショットへのパン、フレーム外から聞こえる音の演出も良かったし、そこに子供の視点を導入しているのも面白い。特に喉仏へのクローズアップは印象的で、男性性の滑稽さ、そして、それを持たない女性を見て、微笑む子供のシーンは二重に読める。広子が夫に文句を言われてるときの、周辺の子供のやりとりも陰湿な立ち回りで嫌な気分になった(良い意味で)。
所々、場面後に残される俯いた広子の苦悶の表情も細やかで、それ単体として見ても良いんだけど、それが終盤、広子が家を出ていく辺りの場面でかなり効いていると思った。まず、夫に出ていけと言われ、微笑む広子のショットも気持ちいいのだが、そのあとの(広子)「皆様の冷たいお心構えが…」と(夫)「じゃあ言うがね…」から、広子を写す(cu)へのカットが個人的にめちゃくちゃスカッとする。ここでは、俯く広子に厳しい言葉を数多く投げ掛けながら、左から右へと夫が移動し、カメラもそれに合わせて向きを変える。これに合わせて俯く広子の姿がフレーム外へ隠れるのだが、次のカット後では、最初から広子が「顔を上げた」状態で写される。映画全編でら夫とその家族に対して広子が俯くショットが多くあったり、成瀬映画ではカット後に動き出す首の動きや構図の移動が多くあったり…こういう流れを踏まえて、この最初から固定された広子のショットだったので、かなり印象に残ってる。

どうでもいいけど、増田の首振りフェイク(47:08)で笑った。あと何気に結婚後の写真の演出も凝ってて好き。
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